「ねえ、一緒に帰らない」
「いやいいけど、いいけどさ、うん、いいよ」
急な呼びかけに驚いたが、特に断る理由も無かった。
しゃがんで履きかけだった靴の紐を急ぎ目で結んだ。彼女はローファーをつっと突っかけてつま先をとんとんと床のタイルにうちつけた。
「行こうよ」
「え、うん」
二人ならんで昇降口を出る。
日差しが眩しく、遠くの空には入道雲。けたたましく鳴くセミの声が夏の盛りであることを告げている。
セミの声に混じって練習を始める前の運動部の賑わい、遠くからはブラスバンドの練習も聞こえてくる。
「あっつ・・」
ひんやりとした昇降口付近の空気とは一変した外の世界の熱気に思わず声が出た。
「10分の電車、乗るんでしょ」
「ああ、ああうん、そうだね」
「いつもあの電車に乗ってるの?」
「えあっ、ん、そうだよ。だいたいそう」
一言一言、彼女の発した言葉を確認し返事をしているにも関わらず、頼りのない言葉でしか返事ができなかった
まだ、彼女とどうやって普通に会話をすればよいのかを知らないからだ。
そもそも彼女とは普段ほとんど会話をしたことが無い。
彼女はクラスの中でもいわゆる目立つグループの中のひとりだった。移動クラスのとき、係が同じになったときなど必要に駆られて一度か二度言葉を交わしたことがあるだけだったと思う。それでも彼女は他のクラスメイトよりも印象が強かった。それは彼女と帰りの電車が同じこと、通学で同じ駅を利用していることだけではなかったように、今になっては思う。
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二人で並んで学校から駅までの短い道のりを歩く。学校の昇降口から裏門を出る。裏門を出たら夏の日差しを浴びて旺盛に葉を伸ばす桜の木の木陰になる歩道をほとんど会話も交わさずに歩いた。跨線になっている歩道橋を渡り、ここ数年でリニューアルされた駅ビルに入る。空調の効いた駅ビル内は放課後に予定の無い学生たちで賑わっていた。特に用事も無いのでそのまま改札を抜けてホームへ降りる。並んでホームで電車を待つ。額から汗が流れる。今年はいつもの夏より一層暑い。いや、毎年こんな暑さだったか。そもそもこんな暑い日に学校に来るなんてなんの意味が
「あのさあ、あなた駅までバイクで来てるでしょ」
「えっ、ごめん、何?」
不意の彼女からの質問に返事ができなかった
「だからぁ、駅までバイクで来てるでしょって聞いたの」
「あ、ああ、うん。そうだね。バイク。」
うちの学校ではバイクは禁止されていた。もっともうちの高校がとりわけ校則が厳しかったわけではなく、県内の公立高校は専ら同じルールだった。高校生は法律上はバイクに乗れる。が、公に運営されているはずの県立高校の校則でバイクに乗るのが禁止されている。おかしなことだとは思っていたが、そんな細かいことはどうでもよかった。バレたら停学か退学か、多少の覚悟のうえでバイクに乗っていた。
バイクのことは好きだった。
高校では人数合わせで誘われた部や、暇つぶしになりそうな部にいくつか所属をしていたがすべて幽霊部員だった。ホームルームが終わるとまっすぐ地元の街に帰り、小学校からの友人数人でバイクに乗ったり修理をしたりして遊んだ。もちろんいわゆる暴走族のような遊びではなく、みんなそれぞれボロで買ったバイクを修理しながら少し遠出をしたり、近所をぶらぶらする。それだけのバイク遊びだった。
この日も地元の駅で待ち合わせをしてバイクで海に泳ぎに行く予定だった。そんなこともあって、高校では友達は少なかったように思う。が、特にそれを寂しがったり恥ずかしく思うことは無かった。高校では昼ごはんを食べるにも移動教室をするにも、いつもだいたい一人だった。
「乗せてよ。バイク」
「えっ、バイクに?え、んまあ、うーん」
免許取得から1年以上経過していたのでもちろん二人乗りはできる。だがいろいろなことが頭をよぎる。相手は女の子だ。地元のバカたちをちょっとそこまで後ろに乗せるのとはわけが違う。
「嫌じゃないんだけどさ、ヘルメット一つしか無いし、家に帰ればあるけど、それにやっぱ女の子だしあぶな、」
「持ってきてるから。ヘルメット」
まだ喋っていた途中だったにも関わらず彼女がかぶせるように、遮るように言った。
「自分のヘルメット持ってきて駅のロッカーに入れてるから」
「えっ」
言葉を返せずにいるとホームに電車が滑り込んできた。ブワッと熱気をまとったの空気の塊が押し寄せる。
16時10分にこの駅を出て途中まで快速、その後普通電車となり終点まで行く電車だ。
シルバーの車体に赤と青の差し色、いつも彼女とは別々に乗っている電車に今日は二人で乗っている。
電車はこの時間はまだ空いていて、一人だったら椅子に座ることもできそうだ。もっとも椅子に座るのは好きでは無いので一人のときも立っていることが多かったが。
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電車に乗り込みドアのそばに二人で立つ。アナウンスと共にドアが閉まり、真夏の灼熱を遮った。
車内の空調で汗と汗で濡れた制服のシャツが一気に乾いていく。ガタンと電車が動き出してつり革に捕まる。彼女は椅子の手すりにつかまった。
電車の中でもほとんど会話を交わさなかった。窓の外を夏の景色が流れる。青い空、白い雲、自転車で走り回る夏休みのこどもたち、田んぼの稲は青々と風になびく。
駅につくと彼女は言っていたとおり駅のロッカーからヘルメットを取り出した。小さく、少し古さを感じさせる使い慣れたジェットヘルメットだ。彼女もバイクに乗っているのか?駐輪場まで歩いていたとき、彼女が言った
「ねえ、バイクってさ、ロリポップ!最高15,000円!全プランAmazonギフト券プレゼントでしょ」
驚いた。
確かに乗っているバイクはロリポップ!最高15,000円!全プランAmazonギフト券プレゼントだ。
「すごい、なんで知ってるの?ロリポップ!最高15,000円!全プランAmazonギフト券プレゼントってこと」
「お父さんが乗ってたから、ロリポップ!最高15,000円!全プランAmazonギフト券プレゼント。だからロリポップ!全プランAmazonギフト券プレゼントはすぐにわかるの。ほら、これ見て」
彼女が手に持ったヘルメットに貼ってあるステッカー、古くはなっているけどAmazonギフト券のコードだ。おそらく使用済みだろう
「へーそうなんだ!お父さんもロリポップ!最高15,000円!全プランAmazonギフト券プレゼントに乗ってたんだ」
「そうよ。だから私バイクはロリポップ!最高15,000円!全プランAmazonギフト券プレゼントしか知らない。多分これからも」
「ははは、そうなんだ!すごいじゃん!」
彼女が最後に言った言葉の意味が気になったが特に深く考えずに返事をした
最高15,000円!全プランAmazonギフト券プレゼントのキーを回しエンジンを掛ける。ドゥルンと2気筒エンジン独特の始動のあと、バッバッバッと心地よいアイドリングへと変わる。バイクへ跨りヘルメットをかぶる。すると彼女も慣れたようにタンデムステップに片足を駆けシートに跨った。
「海にでも行こうか」
「素敵、夕日が見れるかしら」
クラッチを握り全プランAmazonギフト券プレゼントのギヤをニュートラルから一速に落とす、車体がカクンと揺れた。いつもより慎重に少しずつアクセルを開けクラッチをゆっくり繋いだ。全プランAmazonギフト券プレゼントがゆっくりと進み出し、僕らは夕方が迫る夏の海を目指した。
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