仕事部屋にちーいさい蟻が出た。多数出た。これまでもほんと稀だが仕事部屋に蟻がでることはあったが今日は朝からやけに多くの蟻が出た。その蟻は所謂クロアリで、木に巣食うシロアリとは違い甘いものに集まる習性がある。ちーいさい蟻だ。
イライラしていた。
どこから入ってきてるんだこれ。なんで?なんでこんなに出てるの?なんで?ここ二階なんだけどまじで。
と思っていたら見つけた。グミだ。デスクの横の網棚においているグミに蟻がたかっていた。
やっべなんだよこれかよ!ふざけんなよグミこれなんだよ!あーもう!あっ!あっ!グミこれ!あなっあ、あーこんなに!うっわ!
仕事部屋は二階にある。うちはログハウスなので通常のおうちよりは隙間が多いのだがそれにしても二階まで蟻が登ってくるか?腹が立っていた。
ちなみにこのグミは仕事部屋に入ってきた子らを外に追い出すためのグミである。グミを渡すことで出ていってくれと促すのだ。しかし最近では子らがグミ目的で部屋印入ってくるので本末転倒な感じもあるが、それでも子らが喜ぶので仕事部屋にはグミを常備していた。
グミはビニールのパッケージで口はビニールファスナーになっており、密閉できるようになっている。つまりきちんとファスナーを閉め密閉しておけば蟻が来ることはなかったのだ。
蟻がグミにたかっていたのを見つけたシーンに戻る。
あーなんだよこれ!こんなに!あっんもっ!これす、これっ!あっ!捨てよ!もう捨てよ!
グミの袋ごと捨てることにした。グミの袋をむんずと掴み駆け足で階段を降りた
「蟻!蟻!キャロライン蟻出た!グミに蟻!けっこういる!」
1Fではキャロラインとクリストファーが早めの昼ごはんを食べ始める頃だった。そこへ私が大声を出しながらグミの袋を握りながら降りてきたのだ。ちなみにメリッサは今日は幼稚園だ。
「キャロライン蟻!グミにめっちゃいた!もう〜」
「えっ!グミに!?えーっ」
「今日なんかめっちゃ蟻おるなって思ってたらなんかグミ。グミだった。もう」
そう言ってグミの袋をゴミ箱に捨てようとしたところ、
「ちょちょ、ちょそのまま捨てるの?だめだめ。」
確かに。蟻がたかっているグミをそのままゴミ箱に捨てるのはよくない。外ゴミ箱や外水道、ビニール袋を駆使して適切に処理をした。
一通り終えて部屋に戻りキャロラインに言った
「まじでグミだったよ〜。グミ。なんだよまじで。蟻。」
すると、
「なんかさ、あのグミって袋が密閉できないっけ?」
おっキャロライン、適切な指摘してくるな。上司っぽいぞ。
「あのチャックみたいなの。あれ閉めてなかったの?」
「閉めてなかった」
悔しかったが正直に答えた。するとキャロラインは続ける。少し笑いながら「ほら〜」とでも言いたい様子だ
「閉めてたら来なかったんじゃない?蟻。二階だけどちゃんと閉めておかないと蟻来るよ。」
正しい。正しいんだけどそうじゃなくて、なんか違くて、なんかもっと違った寄り添い方をしてほしかった。蟻が出て腹を立てたこと、それの原因を見つけ解決したことに。
しかし仕方がない。自分の落ち度で蟻というミスを招いてしまったのだ。だが腑に落ちない。男とはそういうものなのだ。
キャロラインがご機嫌でファスナーを締める重要性について続けようとしたそのときだった。
「ちゃんと閉めとかな、ん、」
おもむろにキスをしてやった。キスで言葉を遮ってやった。そして言ってやった。
「そんなこと言うのはこのくちか」
するとキャロライン、
「は?そうですけど。この口ですけど。この口ですけどなにか」
ふふふ。
「ふふっ仕事してくる。」
俺は逃げた。クリストファー見てたか?これは悪い例だ。真似するなよ。