エンドレス(バンド)エイド

メリッサ(仮名:娘2.9歳)とキャロライン(仮名:妻)のやりとりで最近気になるものがある。

メリッサは最近絆創膏を気に入っている。特に怪我をしていなくても絆創膏を貼りたがる。少し前に虫刺されがなかなか治らなかった際にキャロラインが絆創膏を貼ってあげたところそれを気に入ったようだ。またメリッサはキャロラインがいつも持ち歩く小さなバッグに絆創膏が入っていることも知っている。問題なのはメリッサは絆創膏を貼ってすぐに剥がしてしまうことだ。絆創膏を貼ることと剥がすことがセットで気に入っているのだと思われる。

気になっている彼女らのやりとりとはこれだ

「かーかー、メリちゃん絆創膏貼りたくなっちゃった、ねえ絆創膏貼ってもいーい?」

「えーだめだよメリちゃん怪我してないじゃん、絆創膏は怪我をした人が貼るものなんだよ。」

「えー貼りたいよ~絆創膏貼りたい~貼りたくなっちゃったよ~」

「それにメリちゃん絆創膏貼ってもすぐに剥がしちゃうじゃん。だから駄目だよ」

「剥がさないよ~絆創膏貼りたくなっちゃった~」

「本当に剥がさない?本当に剥がさないなら1枚だけ貼っていいよ」

「剥がさないよ~1枚だけ貼ってもいい~」

「しょうがないな~。剥がしたら駄目だよ。1枚だけね」

「かーかーありがと!」

キャロラインがメリッサ(の怪我ひとつしていない足の任意の場所)に絆創膏を貼る。
するとメリッサは貼った直後に剥がそうとする

「ちょっとちょっと!だめだよだめだよ!メリちゃん剥がさないって言ったじゃん!」

「剥がしたいよ~剥がしたい、メリちゃん怪我してないよ~剥がしたくなっちゃったよ」

「え~怪我はしてないけどメリちゃん剥がさないって言ったから1枚だけあげたのに。剥がしたいの?」

「剥がしたい剥がしたい。剥がしても良い?」

「え~だったらもうメリちゃんに絆創膏あげられなくなるよ?いい?」

「いい!」

「だったら剥がしていいよ。もう絆創膏はあげられないからね」

「かーかーありがと!」

といってメリッサは絆創膏を剥がし始める。そして何の用途も満たさなかった絆創膏が1枚無駄になる。

まあここまでは良いだろう。しかし驚くのはこのやり取りが週に数回発生し、頻発する時は数分と時間を空けずに発生することだ。

メリッサが絆創膏を要求するたびにキャロラインが、「絆創膏は怪我をした人が貼るものでおもちゃでは無い」と主張する。メリッサは、「それは理解をしている。が、貼りたくなってしまった。」キャロラインはそれを受けて「貼りたくなった感情は理解した。ならば1枚だけ渡すが剥がさないと約束してほしい」と伝える。メリッサはその約束を了承し1枚だけ絆創膏をもらい足に貼る。はった直後に、本当に直後に交わされた約束を反故にし絆創膏を剥がし始める。キャロラインは「待て、約束と違う。剥がさないと言ったはずだ」とメリッサに伝える。メリッサは「わかる。が、絆創膏は怪我をした人が貼るものだ、なにより絆創膏を剥がしたくなってしまった」と主張する。キャロラインが「なるほど。状況は理解した。が、今後絆創膏を渡せなくなるが良いか」と問うとメリッサは「問題無い」と宣言。キャロラインが今後一切絆創膏を渡さないとメリッサに伝え、メリッサは絆創膏を剥がしはじめる。

これを“繰り返す”のだ。キャロラインが「だめだって~いっつも剥がしちゃうじゃん。絆創膏はおもちゃじゃないんだよ」と言いながら絆創膏を渡し、貼った直後に剥がし始めるメリッサに対し「だめだめ!剥がさないって言ったじゃん!」って慌てながら制止しようとし、最終的には剥がすことを許すという、もうこのやりとりを何度見たことか。他のメリッサのワガママ事案であれば2回目からはキャロラインが「ダメ!」と言ってメリッサが泣いて終わりなのだが絆創膏のやりとりだけは違うのだ。何故かメリッサの主張をある程度のところでキャロラインが受け入れ、そして直後に約束を反故にされ今後一切渡さないと宣言し終わる。ことが繰り返される。このメリッサとキャロラインのやりとりが最近本当に気になっている。

このやり取りを俺とクリストファー(仮名:息子1.2歳)はエンドレスエイトを見るかのように「今回は違う結末になるかも」と期待しながら見守っているのだが、毎回同じ結末を迎える。もしかしたら我々は同じ時間をしばらく繰り返しているのかもしれない。そろそろ夏も終わる。メリッサとキャロラインのエンドレスエイトも終わりを迎えるのだろうか

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