【画像有】先生の描く絵がだんだんチンポになっていく

2021年が始まって約半月が過ぎた。先週末は九州北部も数年ぶりの大雪に見舞われ、スタッドレスに履き替える習慣の無いこの地方では往来する車の量が商用車も含め大幅に減った。大雪による静かさと、人の往来が減ったことによる超自然的な美しさも相まってこの世界は遂に感染症に負けてしまったのではないかと思わせるような、美しいながらもどこか悲しさを感じさせる、そんな景色が広がった。

その静かで寒く荘厳な世界の中、それでも子供らは元気だった。メリッサとクリストファーも例外では無く大雪を窓から眺めては外へ遊びへ行こうと私と妻のキャロラインを駆り立てた。メリッサもクリストファーもこれほどの大雪を見るのは始めてだ。2歳になるクリストファーは雪そのものをみるのも初めてだったかもしれない。

降る雪が一旦落ち着いた頃、十分に防寒をして家族皆で庭で遊んだ。雪合戦をしたり雪だるまを作ったり。しかしそれも当然ではあるが長くは続かず、寒い寒いと言いながら早々に暖房の効いた室内へと退散した。その後も何度か外で遊ぶ、やっぱり寒いを何度か繰り返した。雪がやんで1日も経つとすっかり道路は車が通行できる状態となり、交通量も増え普段の世界へと戻っていった。翌日は子らも残る雪で控えめに雪だるまを作った。

普段の生活に戻った気がしていた。もちろん当たり前だが感染症に負けた世界など現実では無かったし、あのすべてを白にした大雪でさえ夢だったのではと思わせた。ただひとつ、雪解け後からあった自身の体調不安を除いて。

息苦しいと感じる生活が2,3日続いていた。始めは寝違えの影響か、数日前に行った焚き火で気管支炎にでもなったかと思っていたがどうも様子がおかしい。熱、咳など風邪の症状は無いが息苦しさだけが続いていた。それも徐々に悪化しているように思えた。

今は2021年の1月。一昨年の2019年末に中国武漢で発生した新型コロナウィルスによる感染症、COVID-19が世界中で相変わらず猛威を奮っている。私はこれまでブログですら言及するのが憚られるほどにこの感染症によってもたらされた世界のことを忌み嫌っていた。大好きな友人知人と自由に会えないこと程度はまだ我慢できもするが、私の周りでも子供らが様々な機会を奪われたり、大切な友人が職を失うなどだけでなく、世界中で様々な人々が様々なものを失い、様々な悲しみの声が聞こえてきた。世界的に生活が一変する中、我々家族も例外では無く、外出自粛や良しとされる新しい生活様式を取り入れ実践してきた。繰り返しにもなるが、非常に悲しく厳しい、暗く長いトンネルの中を、全世界の人類が総出となり出口を目指して走っている。辛い戦いではあるが、負けることは許されない。どうにかしてでもこの感染症に打ち勝ち、美しく希望に満ちた世界を子供らに残し、存分に活躍できる未来を預け渡さなければいけない。それが今の我々の使命だ。

そんな中で感じた自身の体調不良だった。ただただ息苦しい。こんなことはかつて経験したことが無い。いや、相当に昔、まだ私が幼少期だった頃に小児喘息を患っていたことがあった。その頃に同様の息苦しさを感じたことがあったがそれが今回と同じ苦しさだったのか、しかしそれはもう遥か遠い記憶であり、今となっては定かでは無い。

やはりアレか。コロナか。

様々症状の違和感はあるが、そう考えるのが自然だった。いつもの冬以上にうがい手洗いを徹底し外出時は必ずマスクを着用した。極力家族以外の人とは近い距離で長い時間接触をしないように心がけた。それでも体調不良をもたらすものなど今の時期コロナしかあるまい。どんどんと自身がコロナであるという思考へと加速していった。インターネットで症状を読み漁り、やはりそうだ、やはりそうだと頷いた。当然外出はせず、甘えてくる子供を遠ざけ、いくらか不機嫌にもなった。

そもそも感染が確実になると様々に迷惑をかけることが明白に思われた。会社や少なからず私と接触のあった方々、もしかしたらご近所の目も変わるかもしれない。もちろん以上のことはすべて私の誤ったイメージで有ることは書き記しておきたい。実際には感染をしても当然にプライバシーには配慮され、感染者の暮らしが壊れないようには配慮されている。

在宅勤務での仕事中、明らかに呼吸が浅くなり座っているだけでも酸欠のような症状に見舞われることが起きた。頭もぼんやりしか働かず業務に支障を来す状態になった。これはもううだうだしている場合では無いと、急ぎ上司へ離席し医療機関へ向かう旨、これまでの症状の変化と新型コロナウィルスへの感染も否定出来ない旨を伝え、仕事を切り上げ近所の馴染みの内科へと向かった。もう心は決まっていた。覚悟は出来ていた。しばらく妻と子らとも会えなくなるかもしれないこと、しばらくは様々な人々と今以上に距離を意識した暮らしになることを。

病院に到着すると、出入り口前で検温があった。体温が高いと病院に入らずに車で待機となるらしい。幸い(幸い?)熱は無かったので待合室へと通された。そこから長くない時間待った後に診察室へと通された。いつもの先生に様々問診を受け呼吸音や症状のチェックをして頂いた。先生は特にタメもせずこう言った。

「喘息ですね。林田さん、これね、喘息。年明けに引いた風邪から来てる喘息ですよ。これね今流行ってるんですよ実は」

おっと。おっとおっと、喘息?おお?喘息??お。お?喘息かー

いまいち状況が飲み込めずにいたが先生は続ける。

「あのね、この時期体内の白血球が異常になんたらかんたら、こうやって入ってきたバイキンがなんたらかんたら」

先生は饒舌にどんどんと説明を続けていく。

「この診断今日4回目なんですけどね、あのねこうやってこうなってるんですよ。」

先生はいつもどおり絵を描き始めた。先生はいつもわかりやすく原因や症状、治す方法などを図や説明を実際に紙に書きながら我々患者に教えてくれる。それはすごく有り難いし非常にわかりやすい、この親身さが好きでこの内科を利用させて頂いている。その他この先生は開業医になった後も大病院の当直を忙しく務めるなど本当に尊敬に値する先生だ。柔らかい方だが腰も低すぎずカジュアルで本当になんでも相談しやすい素敵な先生だ。

先生のペンが進む。

「こうやってね、肺の先っぽってこうやって棒の先で袋みたいになってるんですよ。これね肺胞っていうんですけど、」

はあ、なんか昔学校で習いましたね。確か。なんか結構あれですね、考えさせる形ですね

「習ったでしょ?でこの肺胞がね、こうやって、細菌などに感染するとね、こう、」

あっ先生この、絵、ちょっとあれですね、あ、点々?あ、

「で、こうやって少し炎症などを起こしてしまうとこんな風に、」

あー!先生先生!ちょっと絵が良くない方向に、あれ!?先生?あ、アレみたいです!これ良いんですっけ!?!?

「でこの肺胞の先っちょが傷ついたりするんですよ。こんな感じで」

あっ!そこに切れ目を入れたらダメです!あっ!あー!!もうアレにしか見えない!!

「でこの肺胞につながっているところの管を白血球が、こうやって攻撃を、」

あーっ!先生!根本にまで!根本までそんなにリアルに!あっ!

「でこの肺胞の先からこうやってね、」

あーっ!!!!!!どういうことですか!?!?!?これはもう、えーっ!え?

「でこうやって、この肺胞を治すことが大事なんです」

あ、、すごい、ちゃんと影まで、、立体的になった。。

「できました。これが林田さんの喘息です。」

なるほど。よくわかりました。。。これが私の喘息なんですね。。

先生は私の喘息を説明しながら立派なチンポを描いてみせた。
私は新型コロナには感染しておらず、チンポの絵で説明できるタイプの喘息だった。これが全てだった。

末筆にはなるが本当に医療機関で働く人、その他でも人と接触する仕事に従事している方々(店舗、飲食店、製造業、配送業、公務員などその他多くの職業の皆様)、この非常時の世の中で、それでも今まで通りもしくは今まで以上に踏ん張って働かなければならない皆様には本当に頭が下がる。感謝をしてもしきれない。我々が出来ることはこういった皆様の負担を少しでも減らすことだと理解をしている。

繰り返すが、我々は暗く長いトンネルを人類一丸となり出口を目指して走っている。人と接触することが殆どない私の仕事だがそれでも社会の、誰かの為になっていると信じて、出口を目指す一人としてしっかりと真面目に取り組んでいきたい。

※実際には先生は超真面目に説明してくれてますし、私も超真面目にその話を聞いています。この絵で私は自身の症状をしっかりと理解することが出来ました。本当に素晴らしい先生ですし、この状況においてもしっかりと地域医療を支える素晴らしい医院です。また、私自身体調不良を感じてからは他人との接触は行わず家族とも距離置いて過ごしていたことを付け加えておきます。受診後、飲み薬による喘息の治療を開始しました

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