ウネェア

歯を抜きに歯医者に行った。四十路前の男がいまさら歯医者で歯抜いてんなよ今まで何してたんだよって思うかもしれないんだけど、俺の歯にも俺の歯なりの事情があるので許して欲しい。怠惰が招いた結果では無いことだけは伝えておく。

麻酔ですでに痛かった。

「アウズゥアアンッ!!」

「痛いですか〜」

「ウネェア」

口は先生と助手の方?にガッチリと捕まえられているのでまともな返事はできない。

麻酔が効いてくるまでの間に歯石取り?をしてもらった。これがわりと、わりとというかかなり痛い。

ゴリゴリとなんか機械が歯の上を行ったり来たりしている。 口はしっかりと押さえつけられている。

「ネンウゥ!?」

「痛い時は左手上げてくださいね〜」

痛みを我慢できずに左手を上げることだけは避けたい。

「guoanッ!!」

「痛そうですね〜」

そうこうしているうちに先生がいらっしゃって歯を抜くことになった。

「林田さん、痛かったら左手をあげてくださいね。」

「わかりました。お願いいたします。」

「では椅子を下げますね〜」

椅子が下がり首がだいぶ下がるポジションに落ち着いた。これ合ってる?このポジション。

「ではね〜いきますね〜」

麻酔が効いているので痛みは無いがグググッと圧を感じる。圧?圧というか振動?グググッ。ググッ、ん?これ、痛いのかな?痛くないんだけど、ん、どうだろ。痛くないのこれ。わかんない

「ゥナッン!? 」

痛え!!

「痛いですか〜もう終わりますよ〜」

早く〜早く終わってくれ〜痛いよ〜

「終わりましたよ〜」

よかった〜めちゃ痛かった〜。

終わった後に先生が言った。

「林田さん、痛がりすぎるのでね、移植とかもしそんな、インプラントとかわかんないですけど、そういう込み入ったことする時はね、よその痛みがあまりない歯医者さん、ね、紹介もできますから。そのときは、ですけど。ね。」

うそでしょ。我慢したのに。ちょっと寂しかった。どっちかって言うと褒めてほしかったぜ。

みんな、歯は大事にしよう。

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